「30年の月日の長さが身に沁みた」 おすすめ度:
投稿日:2003-06-25
高校生の頃、なんとなく精神医学に興味があった。進路を決めるにあたり、精神科医になるには学力も金銭も不足していたので、精神病院の看護師になろうと思ったことがある。ところが、ルポ・精神病棟」をはじめ何冊かの本を読んで、自分には精神病院で働くような根性も情熱も、他人に対する寛容さもないと悟り、やめた。
この本の著者は、その「ルポ・精神病棟」の舞台となった病院へ、まさにその直後に就職したのである。並みの人間では逃げ出すような環境の中で、次から次へと改革をしまくった30年間の努力と根性は、果たして一度地に落ちた病院の信用を回復させることができたのだろうか?
この30年で、精神病患者を取り巻く状況は大きく変化した。いまや、心療内科や精神科クリニックは街中のあちこちでみられ、かつてのような陰惨さはない。
あとがきで、著者の30年の身の回りの変化が綴られているが、読んでいるうちになぜか涙が出てきた。たった30年でも、月日の長さが身に沁みた。