「絵本のように平易。異端だが要注目」 おすすめ度:
投稿日:2005-12-22
カラフルなページ構成、豊富な写真とイラスト、そして平易で分かりやすい文章――まるで絵本のようだ。
さて、著者は日々外来の現場に立つベテラン外科医。今までの常識をくつがえす、として、「消毒しない」「水道水で洗う」「乾かさないようにサランラップで覆う」の3原則を説く。
しかし、常識をくつがえすと言いながら、これは実は我々が知らず知らずに実践していることなのだ。泥のついた擦り傷はまず水でゴミを徹底的に落とすのが鉄則だし、痛まないように絆創膏を貼るのも、結果的には乾かさないことに通ずる。同様の方法が、病院に担ぎ込まれるような怪我にも最適だ、というのが本書の主張だ。
しかし、よくよく考えてみるといくつか疑問が生じる。ガーゼで固定するなというが、では止血はどうするのか。(著者の病院では止血用の貼り薬を使うとのことだが、一般家庭ではどうすればいいのか?)サランラップで覆うというが、ラップだけでは患部が衣服に当たって痛い場合に、包帯を使ってよいのか。ラップで覆った部分がかぶれる心配はないのか。
このへんの細かい点は、3原則を強調したいという気持ちのせいか、置き去りにされてしまっている。フルカラー印刷のせいか、72ページで1400円という値段も一般人には少々高い。
本書の方法は、現時点ではまだ「異端」だ。当分は、本書の方法と、旧来から経験的に行われている方法の“いいとこどり”をするのが賢明だろう。